日経BP社の記事が、日本の経営者に与える影響について

ここ最近、1年くらいかな、日経BP社の一部の記事を読んで、よく疑問を感じています。バイオテクやMedWaveなどでは時々最新の情報も頂いているんですが、BSE問題などではミスリードがどうも気になります。まずはこの記事をお読みください。

「日経BP社全社統一キャンペーン」
「安全・安心・セキュリティー 安全には答えが必要だ」
「SAFETY JAPAN2005」

大前研一:愚民政策が生んだ「ウソばかりの“国産”食品」
1頭のBSE感染牛で“完全閉鎖” 消費者には情報と選択肢を与えよ
http://nikkeibp.jp/sj2005/column/a/03/ 
http://nikkeibp.jp/sj2005/column/a/03/02.html
http://www.nikkeibp.co.jp/info/webad/jpn/doc/sj2005.pdf
上記で、BSEの安全性について大前氏の文章を紹介されてますが、「安全には、答えが必要だ」の「答え」がどうもおかしい・・・日経BPさん、しっかり内容を検証してくださいよ。消費者もそうだけど、企業がミスリードされたら、経営にも影響がでるから大変ですよね。

Speak Easyさんがまとめてくださった、上記記事に関する重要な問題点指摘を、まずお読みください。

大前研一氏に退場を勧告する
http://blog.livedoor.jp/manasan/archives/28045319.html
それと、笹山さんの掲示板にあった真名さんの含蓄のある言葉を転載させていただきます。
日本の経営者必見

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日経BP社の雑誌はけっこう高いです。 
企業経営者の立場から見ますと,初歩的な間違いが垂れ流されているというだけで、日経BP社がもたらす情報を警戒するべきです。
意見は偏向していてもかまわないと思うんです。 企業経営者に必要なのは事実です。 個人的意見ではありません。
事実把握を根っから間違うと危険です。 大前氏はそこに触れた。 日経BP社に対する経営者の信用がなくなるでしょう? 大前氏に退場を勧告したのは、日経BP社のためなんです(笑)。

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その他、内容についてですが、
>私も現地に行くと、岩塩を振りかけて赤身の肉をよく食べるのだが、実は日本には輸入できない。口蹄疫(こうていえき:※)があるためだ。
口蹄疫は加熱すれば輸入できる、だから中国からも肉は輸入できています。

>一体、誰が儲けているのか。
大前氏の言われる、これは私も感じてます。タンなんかも買い占めている人間がいて品薄→高騰?いうのをどこかの新聞が書いていたし。

ちなみに文中の松坂牛→松阪牛が正しいです。
問題は次のフレーズ。
>「松坂牛」や「近江牛」も、すべて但馬牛を1週間それぞれの地で餌を与えれば、「松坂牛」や「近江牛」に“仕上げ加工”できる。
輸入生体牛は6ヶ月間飼育で国産表示になりますけども、これは???

婦人時報というサイトにはこうあります。
> 松阪肉牛協会では、松阪牛を次のようにきちんと定義しています。(1)但馬牛系の黒毛和種の雌(2)松阪地域の生産農家で五〇〇日以上育成(3)日本食肉格付協会の品質検査の結果がA5かB5ランクのもの。この定義に該当する肉のみが「松阪牛」と表示できるのです。ところが、「松阪和牛」と、そっくりの名をつけて消費者の誤認を誘おうという表示が横行しているのです。

http://www.chifuren.gr.jp/tokyo/kikanshi/ki-0302/030215.htm

三重県阪食肉公社
http://www.mie-msk.co.jp/
さて、どれがホント?

ところでですが、大前氏曰く、
>「消費者には情報と選択肢を与えよ」 

BSEvCJDの次なるリスクは、「公衆衛生」問題にシフトしています。
これは「選択」できるものではありません。ぜひ情報としてお読みください。日経BPさんも情報として報道くださいね!


英国:BSE狂牛病)被害者は本当に150人だけ?盲腸推計3800人と、二次感染防止通知6000人
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/c/a0209d89782edb34131184136abc37e0

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さて、次の記事

ジンギスカンブームの先駆者、成功の秘訣とブームの今後を語る(前編)
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/biz/387265
畜産品の単品特化での成功を煽るような記事を掲載されてますけれど、新型の人獣共通感染症が台頭する時代、そして羊にもBSEが感染するのではないかという心配もある時代に、こうした煽り記事は、レストラン経営者に対してどうかと思います。

雑誌がジャーナリズムなら、レストランの長期的な経営安定と、食の安全(管理がきちんとされている産地にこだわるとか)を追究する記事で読者をリードすべきではないかと思います。もし羊に何か問題が起こったら、レストラン経営やその社員はどうなるんですか?この方は成功したかも知れないけど、単品特化は経営の危機管理上のリスクもあるんだということを同時に伝えないとまた同じことの繰り返し。今の苦境は、こういう無責任なマスコミの姿勢にも責任の一端があるかと私は感じています。

米牛肉輸入再開求め集会 外食産業の業界団体
http://www.kahoku.co.jp/news/2005/07/2005072101004321.htm

>ジンギスカンでよく使われる羊の生ラムは、鮮度管理が非常に難しい。日本に輸入される羊肉は、まず一度、北海道に集まります。そこから全国各地に配送される。加工も北海道が先端です。

禁止されていたアイルランド産羊肉も、検疫で間違って道に入ってましたよね。
http://www.asyura2.com/0403/gm10/msg/285.html
山羊と羊は大丈夫?
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/c/74f2ca6cac5042c698e01d7bda2de1af
食の安全や産地、育て方にこだわることは、経営の危機管理上、生き残るためには必須の時代だと思います。日本の経営者さん、がんばってください。

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ついでに、検索途中で見つけた日経BPのサイトより。日経BPさん、記事の事実確認、頼みますよ〜
http://www.google.com/search?q=cache:DfrJvIeDW7EJ:nikkeibp.jp/style/bizinno/risk/article20040427.shtml+%E5%90%89%E9%87%8E%E5%AE%B6%E3%80%80%E7%A4%BE%E9%95%B7%E3%80%80%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%80%80%E7%B1%B3%E5%9B%BD&hl=ja
>日本でBSEが発生したときに米国側は、日本から米国向けに輸出するものについて全頭検査を義務付けた。にもかかわらず、逆の立場になると「全頭検査はしない」という横暴に出ている。

↓この記事に関する、笹山さんのご指摘

これは、以前、アメリカで最初にBSeが発生したときに、「アメリカのBSE発生と今後の課題」http://www.sasayama.or.jp/opinion/S_33.htmに「日本とアメリカとのBSE対応は、イコール・フッティング(競争条件平等化)であるべき」として書いたのですが、
「2002 年1月発表のGAOの報告では、BSE発生国から輸入の生体牛のモニターの必要性に付いて強調し、この中で、特に一昨年の日本でのBSE発生時の、日本より輸入の生体牛のモニターに付いてふれ、日本からの生体牛の輸入は、1993年から1999年にかけて、242頭が輸入され、USDAは、そのうちの214頭の居場所を突き止め、28頭については、なお居場所確認中とのことで、この居場所を確認できた214頭のうち、24頭はすでにと畜され、また40頭は輸出されていたので、残りの150頭に付いてモニターをはじめた。」
ということをさしているのではないでしょうか。
日本からの牛肉や生体牛のアメリカへの輸出は、このとき以降途絶えているのですから、「全頭検査を条件」ということは、あたりませんね。