検証:普通の生活で、vCJDが感染しないとは本当か?歯科編

先日、OIEという、世界の動物感染症対策を推進する機関の先生がフランスから来日、食安委主催でリスクコミュニケーションが開かれましたので、行ってみました。そこで驚いたのは、OIEの「BSE問題は公衆衛生的にリスクが低いと思われる」という見解と、世論をリード、問題提起すべき立場の新聞記者さん(公衆衛生ご担当?)の「○○菌よりBSE問題は公衆衛生リスクが低い云々」という認識です。

BSEから始まって人のvCJDへと拡がるプリオン病問題において、みなさん、(日本の?)感染対策すべき現場が、実際どんな状況にあり、どんな問題を抱えているか、気付かれてない?のでしょうか。ということで、普通の生活で感染源になりうると思われる個々の出来事を検証してみたいと思います。(普通の生活で、vCJD=人型BSE(狂牛病)が感染しないとは本当か?の中の1つめの検証)

これは、vCJD(変異型クロイツフェルト・ヤコブ病)だろうが何病であろうが、「院内感染する病気」に対しての医療機関のあり方自体の問題で、公衆衛生にすでに問題があるようですので、それを紹介させていただきます。医療の言葉に「スタンダードプリコーション」(標準予防策)がありますが、その感染対策の基本がどうも、現場では守られていないところがあるらしい、ということです。

まずは、「歯科」の検証から。。

■歯医者にいく

日経MedWaveの記事から
「HIV感染者の歯科診療でユニバーサルプレコーションが浸透 (2004.12.16)」
一見、よさげなタイトルに思えますが、その数字を裏返すと、こういうことになりそうです。

「20%未満の施設が患者毎に手袋を交換していない」
=「回答した全施設で診療時に手袋が使用され、80%以上の施設で常時使用し患者ごとに交換していた」
「歯を削る際に使うタービンハンドピース。「患者ごとに交換」が14施設(35%)だったのに対し、「観血的処置時交換」は20施設(50%)で、交換頻度が十分とは言えない状態だった。」
「また、半数の施設で歯科医師数より衛生士の数が少なく、歯科治療時の介助における適切な人員という面では不安な面も浮き彫りになった。」

■ターンハンドピースとは何でしょう?(某掲示板の( ´`ω´)つさんの投稿から)
【エア・タービンハンドピースのお写真】 
その1 その2 その3

【平成十四年十月二十二日提出質問第二号・歯科用ハンドピースによる院内感染防止策に関する質問主意書
( ´`ω´)つhttp://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a155002.htm
↑これら対策も、プリオンに対応してるのかな?

感染対策において、人のお口(粘膜)を診るのに、手洗いというのは基本中の基本ですよね?。その他いろいろ歯科には感染管理の必要な器具や用具や、手技があるでしょうが、基本ができてないということは押してしるべし、だと思います。また、「医療従事者を守る」という観点からは手袋やガウンも大事だけど、本当は「目の粘膜を守る」用具も必要なんですよね。

大きな病院にはICT・ICD・ICN(Infection Control Team またはDoctor またはNurse)の感染対策専門の方が存在して院内感染問題を見張っていたり、院内感染対策のための学会や、日々の最新情報交換のメーリングリストが多種存在していますが、特化した、歯科分野はどうなっているのか?個人歯科さんはどこから感染対策最新情報を入手し、情報を共有しているのか?そこが私の知りたいところです。どなたかご存じでしたらお教えください。

なお、プリオン病の歯科対策のガイドライン医療機関の一般の対策ガイドライン国立精神・神経センターの「各種ガイドライン」にあります。しかしプリオン病以前に、スタンダードプリコーション」は実践されているのか?日経MedWaveの記事を読むに、まずは感染対策自体のボトムアップが至急望まれますし、「うちの医院の感染対策はこうしてる」という具体的情報を公開してもらわないと、安心して歯医者さん、いけませんよね。よろしくお願いします。

なお、歯科については他にも調べたことがあって、情報を順次追加していきたいと思いますので時々このサイトを覗いてみてください。

【参考】
昨年出た変異型ヤコブ病の感染、伝播に関するBMJの論文の紹介が下記にされています。
http://www.microbes.jp/aimai/kurashi/fl354.htm
これは大変期待の持てる記事。
英国研究者、CJD伝達リスクを大きく減らす手術具洗浄剤を開発
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/05022502htm.htm


6月15日追加 農業情報研究所さんのサイトから公衆衛生問題

オランダ、80年以後に輸血を受けた者の献血禁止へ、vCJD拡散予防措置 04.12.13
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04121302.htm
フランスで9例目のvCJD確認 最近2例の患者は繰り返し献血 04.11.25
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04112501.htm
英国、vCJDリスクのある血液製品を11カ国に輸出 04.9.30
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04093001.htm
輸血によるvCJD感染をめぐり6,000人に警告ー英国保健省 04.9.22
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04092201.htm
発症例皆無の遺伝子型患者にvCJD潜伏輸血感染発見、高まる人→人感染のリスク 04.8.7
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04080701.htm
輸血によるvCJD感染第二例、遺伝子型は異型型 高まる多数の感染者潜在の恐れ 04.7.24
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04072401.htm

6月23日追加
イギリス:美容整形に狂牛病感染のリスク?(暗いニュース リンク)
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2005/02/post.html