米牛に関する調査会傍聴と歯科・内視鏡の感染対策

遅くなりましたが、5月31日、米国牛の審議がいよいよはじまりました、その傍聴感想をUPします。
たいがいこのブログを更新するより先に笹山さんの掲示板に書き込んでおりますので、笹山さんの掲示板をご覧になっていただければ幸いです。
http://www.sasayama.or.jp/saboard/b_board.cgi

まずは、当日の様子に関する報道を。。
消費者に説明不足 プリオン調査委員会 強い懸念を表明(日本農業新聞・遺伝子組み換え教室HP)
http://www2.odn.ne.jp/~cdu37690/syouhisyanisetumeihusoku.htm
リスク評価機関の役割でも議論 食安委プリオン専門調査会(日本食糧新聞
http://www.nissyoku.co.jp/bse/

上記のほか、傍聴して、印象に残った発言要旨をご紹介。

寺田委員「中間とりまとめ案までの月齢見直しは、プリオン専門調査会から”ボランタリー”に評価を始めたもの」

本間委員「ある程度の(審議の)スピード感があってしかるべきではないか」

見上委員「このさいはっきり言っておきたいんですけれども、我々本委員会において、食品安全委員会において中間とりまとめ案などについて、一度たりとも、アメリカありき、という話もなかったし、そんなことなど思ったこともないです。(略)」

山本委員「諮問に関しては、わが国と同等の安全性ということで、国内のあらゆる年齢の牛(の肉)と、米国から入ってくる20ヶ月以下の牛(の肉)のリスクとの比較ということでいいのか?」(吉川委員「私もそう思います」)

小泉委員「行政資料で、「食安委の承認手続きを経て」という表現だが、何を承認するのか、と思う。国内ですらあれだけ時間がかかった。今度の米国、カナダ牛の評価については、管理問題は全部(行政に)責任をもっていただく、そういう条件のもとに、科学的事実に基づいて、それだけに限定して、評価をするならしましょう、という認識で私はいる。最短的???(この単語が聞き取れず)に見て議論していただくということにしていただきたい。(以下、金子委員への反論)」

=====================

全般的な感想ですが、私はポカーンとして、顎が外れそうになりました。日本の食の安全は彼らにまかされております。リスク評価以前に、「危機管理感覚」のある先生方に頑張っていただかねば。。

「国内のあらゆる年齢の牛と、20ヶ月以下の牛からSRMを除いた上でのリスクの比較」をする、という話が出ましたけれど、農水・厚労省は、牛肉&内臓に関して諮問をしてますから、牛タンや腸も含めてなのでしょう。

最近傍聴していてつくづく感じるのは、もう国の方向性は、食に関しては米国属日本州、らしいわけだから、自衛するしかないのでは、ということです。日本の食の安全を守るのに、税金でこのような危機管理感覚をお持ちの方々に給料払っていることを考えると、アホくさいどころの話ではござりません。まともな意見は「少数」扱いだし。EUのGBR評価メンバーを呼んだほうがいいのではないでしょうか。

私は、山本委員の発言に、「日本の老廃牛と、何食べてるんだかわからない米国の20ヶ月以下の牛を同一に考えさせて、リスクは似たようなもの」という結論に持ち込むつもりではないのか、という不安を感じました。だったら困りますよね。本当に。

しかし先日米国の消費者運動をされている方のお話を伺いましたけれど、米国でも心配されている消費者は少なくないそうです。あとは「Mad Cow? 焼けば大丈夫でしょ」という人もいるし。どうなることやらです

議事録をお楽しみに。。。
http://www.fsc.go.jp/senmon/prion/p-dai25/index.html

関連:北海道の同地域で3頭目BSE(日本で通算20頭目)が出たことに関する分析などは笹山さんのブログを。
http://www.sasayama.or.jp/wordpress/index.php?cat=2


vCJD問題ともかかわる歯医者の院内感染にかかわる問題を。。

検証:普通の生活で、vCJD=人型BSE狂牛病)が感染しないとは本当か?その1 歯科編
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/57316d5ea76dd6092e7c843c2e7d6403
で取り上げた、歯科の感染対策のお粗末さですが、ようやく対策改善が話題にされてきたようです。

05/05/13 エイズ予防指針見直し検討会第6回議事録
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/05/txt/s0513-1.txt
一部抜粋してみますね。

「資料8ページから、歯科診療に際しエア・タービンで歯を削った場合に、どのような飛散状態になるかを、エア・タービンのウォーターラインに歯垢染色剤(赤色)を入れ、水が飛び散る様子を実験的に行ったものであります。これ等により術者と補助者、さらに患者さんとその周囲への飛沫汚染状態がお分かりいただけると思います。この写真の術者の装備は実際の診療(術者の防御マスク等)と違いますのでご理解いただきたいと存じます。
 写真35〜36は、上顎の前歯にエア・タービンを使用した飛沫汚染の状況で、バキューム装置等の吸引を行わない状態です。写真35は、作動30秒後の汚染の状態で、術者の指・患者さんの顔や胸、口腔周囲が汚染されております。

写真36は、作動後1分30秒後の汚染の状態で、いかに広い範囲が汚染されているか、実際は約2m四方に飛散しており大変な汚れであります。これ等の状況から万が一を考えて、患者さんごとにエプロンの交換やブラケット・テーブル等のビニールカバーが必要になります。
 写真37は、同様な実験で口腔内バキュームを使用した場合とさらに口腔外キュームを併用し吸引操作をした状態で、いかに飛散が抑えられているかお分かりのことと思います。
 写真38〜39は、エア・タービン等ウォーターラインへの逆流を示したものであります。ご存知のように、エア・タービンは高速で歯牙等を切削するため、切削時冷水で冷却する必要があり、切削終了と同時に瞬時に止まるため陰圧がかかる機構になっております。その際に、口の中の唾液や血液を吸引してしまいます。吸引を防止するため逆流防止装置の付いたエア・タービンの使用と空ぶかしを行うことが感染予防には重要であります。(略)

感染予防対策に関しましても、拠点病院に併設されております歯科診療施設の50%において、エア・タービンを患者ごとに変えられるほどの余裕が無く、設備が整っていない状況でした。拠点病院だからといって安心して患者さんを紹介できない状況であります。(略)

 日本エイズ学会とか、そういうところでも、眼科、歯科の受診の問題で、エイズ患者を特別みたいに言われますけど、実際に感染症にかかっている患者さんというのはいっぱいおられまして、B型肝炎の患者さん、C型肝炎の患者さんなど、大変多うございます。そういったところで、じゃあ、ユニバーサルプロポーションがきちんとできているのかどうかという問題に到達しないで、HIV感染者についてはこういう装備が必要である、こういう体制が確立しないと患者に来てもらっては困るという、科学的に見てもその論理立てがないのではないかなと思うんですね。(略)

そういう中でも患者さんの人数分ハンドピースがないために、1日の診療の中でハンドピースを使い回ししなければならない状況があるといった、そのへんの問題点もあって、改善をお願いしているということがございます。(略)

=============
こういう問題に対して、個々の歯医者さんがどう対策をしているのかの情報公開がますます必要となってきますね。というか、歯医者にいけなくなってきてしまうんですが(^^;

しかしこの審議会、写真の公開はないようです。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/kousei.html#aids-yobou

ユニバーサルプレコーションとスタンダードプレコーションとは何か?笹山さんのご解説
http://www.sasayama.or.jp/wordpress/index.php?p=218

参考:
お医者さんや歯医者さんにHBVなどの抗体保有者が少なくないのは
http://api-net.jfap.or.jp/siryou/dental_manual/05.pdf
http://api-net.jfap.or.jp/
http://www.moraine.co.jp/medical/dentist_cdc.html
http://medical.radionikkei.jp/shikai/pdf/040511.pdf
よく聞きますね。上記サイトをご覧ください。ライオンの歯ぶらしのCMも、歯医者さんは見本のために、裸眼ではなくアイガードつけるべきじゃないだろうか。


■vCJDと内視鏡汚染問題についての審議結果 議事概要

変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)に係る二次感染について(概要)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/04/s0408-5.html
(1)  消毒後の器具に残った感染力
(2)  プリオン病患者組織の感染力

内視鏡も歯科と同じく、院内感染源としてのニュースを時折目にしますね。医療現場は大変です。

しかし、病気治療の際の輸血や手術、歯科、内視鏡etc...などについて、どう自己防衛しろというのだろうか。
「自己責任」なんて言ってる学者や政治家は本当におめでたいですね。