英国:被害者は150人だけ?盲腸推計3800人と二次感染

BSEによる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病vCJD)について、一部の学者の方々によって喧伝されるのは、「リスクは僅少」という形容をつけた、発病した「死者」の数だけだったりします。しかし私達が注意しなければならないのは、彼らが公衆衛生や院内感染の専門家ではなく、二次感染問題などに触れていないということです。

BSE/vCJDの問題は、今現在&ここ数年の患者数だけではまだまだ判断できず、状況を見守るしかない点にあります。潜伏期間が長く、感染に至る量も感染源もいまだに不明なわけです。現状ではスクリーニングもできないので、感染者が何人潜伏しているのか「不明」。開頭しないと診断がつかない、診断自体が難しい病気であり、しかも潜伏期間中に、輸血などの医療や、公衆衛生上問題のある行為で他者に感染する可能性がある病気なわけです。

現在判明した死亡者数だけでなく、どれだけ多数の方が感染の不安を抱えて生きることになってしまったのか、日本では殆ど報道されていない最近の情報を、再度、集めてみたいと思います。

私がここで言いたいのは、病気をなめて対策をしっかり取らないと大変なことになるのだから、日本は、米国そして他の国にも、そもそもの病気の発生を防止する「飼料管理、SRM除去、検査」についてキッチリ管理いただくことを主張すべき、ということです。

■英国 感染とその拡大が心配される現状
ヤコブ病病原体となる異常プリオン、高率で人に感染か(読売新聞)
http://asyura2.com/0403/gm10/msg/223.html
英国:予想以上のvCJD感染者が潜伏―新研究(続報)
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04052201.htm
盲腸の検査結果による推計で、3800人の英国人がvCJDに感染していると推定されるという報告

CJD伝播予防のための使い捨て器具導入 
http://www.yoshida-pharm.com/uk/2001/010104.htm
(2001年1月)英国政府はNHS(公的保険病院)の滅菌・清浄化設備を近代化するための予算を2億ポンド用意するとともに、2001年に行う扁桃摘出術においては使い捨て器具を導入するよう勧告

今現在は輸血用血液のプリオン除去フィルターの開発とその導入について時折報道されています。日本にもいずれ導入が必要になるのでしょうが、相当な費用がかかるのではないでしょうか。

英国、vCJDリスクのある血液製品を11カ国に輸出 04.9.30
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04093001.htm
輸血によるvCJD感染をめぐり6,000人に警告ー英国保健省 04.9.22
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04092201.htm
発症例皆無の遺伝子型患者にvCJD潜伏輸血感染発見、高まる人→人感染のリスク 04.8.7
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04080701.htm
輸血によるvCJD感染第二例、遺伝子型は異型型 高まる多数の感染者潜在の恐れ 04.7.24
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04072401.htm
英国の新仮説、vCJD既発症者の感染源は70年代のベビーフード vCJD禍は端緒にすぎない 053.7
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/05030701.htm

この問題は当然英国だけではありません。

■日本 二次感染や診断に関係する問題
日本は、血漿分画製剤については、その多くを輸入に頼っています。
なぜ私が米国BSE問題をしつこく取り上げるかというと、日本は米国から血液製剤も輸入しているからです。BSE問題は食だけの問題じゃないんです。だから、日本は米国の穴だらけのBSE対策の改善を強く要求すべきなわけで。

以下は2003年3月の通達
北米産の血漿分画製剤については、現時点では、米国当局においてもCWDと米国内での若年CJDの関連については否定されているところからも、プリオン病対策としての特段の措置は行わないが、引き続き情報収集する。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/03/s0326-12.html
平成15年度に製造・輸入されるべき血液製剤の種類及び量
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/09/s0919-6c2b.html
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/09/s0919-6c2.html

なお、日本のvCJD感染リスクに関しては、食安委の0.1〜0.9人という評価がありますが、あの計算の前提には次のものが入っていないこと、ご存じですか? この輸入大国、海外旅行大好き日本において、「輸入食品、健康食品、化粧品、海外赴任、海外旅行での曝露リスク」が含まれていないんです。

また、日本のBSE発生頭数の予測計算についても、米国など他国からの肉骨粉リスク、代用乳リスク、大量の牛が生きたままレンダリング処分され検査されなかったり、その他、未検査処分されたという告発もある日本の現状(BSE出れば農家さんは死活問題です)、牛の素埋め問題、そういうのは入ってません。

食安委や他のリスク学者が、こんないい加減な数字を出したり、その中途半端な数字を用いてへんな宣伝するから、おかげさまで、数字だけが一人歩きして日本のvCJD対策は遅れています。美容などの目的で濫用されているヒトプラセンタ(胎盤)注射と献血対策などにも影響でてるんですよ。未だに規制がないんですから。あたしゃ、昨年、献血問題に関する審議会終了後、出席されていた輸血の権威の先生に突撃?してプラセンタのこと、伺ってみましたよ。先生曰く「なに?プラセンタ使用者の献血規制ないの?そりゃいけない」 また、厚労省がすぐ対策に着手しなかった理由知っていますか?まぁ、いろいろ難しい問題があるのでしょうが、理由の1つとして、ある高名な学者のNさんの「BSEのリスクは微々たるもの」というリスク計算結果と、「日本の患者の発生予測は0.1〜0.9人だから。」少なくとも昨年伺ったときにはその理由を挙げておられました。この話をある食安委事務局の方にしたら「そんなのは勝手に厚労省が間違えて判断しているだけです!」血相変えておられましたけど、責任はうちにない、ということを言われたかったんだろうか。(※正しくはY委員とその話をしていたときに事務局の方が割り込んできたというのが正しい)日赤にメールすれば「それは厚労省が対策するべきことですので。。」ちなみに回答責任者の名前を聞いても「不回答」でした。日赤の回答について厚労省に話したら「日赤そんなこといってんの?!」 誰かなんとかして。

■ヒトプラセンタ問題
ちなみにヒトプラセンタ製剤の製造本数ですが、メーカーは2社あり、一社の製造本数の自己申告の報道が下記にありました。(2月9日)「同社によると、2003年は1万4000本余を製造」←これは文脈によると薬事法違反の刻み胎盤アンプルの本数?それとも注射の本数?
http://www.cjd-net.jp/2PART2/240KeijiBan/242Kako_no_Naiyou/Kako_no_KeijiBan_Naiyou.htm
胎盤使用を率先していた日本胎盤医療研究会の加盟は60医院ほどのようです。しかし使用者情報などを公開していたHPは問題が指摘されはじめたころ削除されてしまいました。1医院で月600人に注射しているなんて報告もあったんですよ。(左記研究会に加盟していないクリニックもあるでしょう)最近は大手健康食品のファンケルなども注射の推奨キャンペーンをしています。
http://www.sis-web.co.jp/hbs/hbs-news050217-03.html
http://www.908.st/mt/cmstriker/archives/002609.html
さて、薬事法違反だし、自己申告は信じていいのかな?

■ニンニク注射問題
暮らしWORLD:「ニンニク注射」を打ってみた においのもとが疲れに即効
http://www.mainichi-msn.co.jp/kagaku/medical/news/20050614dde012100013000c.html
毎日新聞も宣伝している「ニンニク注射」ですが、なかにはこういうのがあるのでご注意。

「スーパー プラセンタ」 メガビタミンカクテル点滴
http://www.sakae-clinic.com/beauty/placenta.html
>プロスポーツ選手、モデル、芸能人も絶賛!話題のスーパー プラセンタ「ニンニク注射」
中日ドラゴンズの関川選手がこのカクテル点滴で故障も短期で治療して復活!!
中日スポーツ1面のトップ記事で大々的にとりあげられました。(H15年5月27日

ちなみに「ニンニク注射」を単独にするよりもプラセンタと合わせたカクテル 点滴をするのが主流です。(くしかたクリニック) http://www.kushikata-clinic.com/treat/placenta/plasenta.html プラセンタ詳細は下記掲示板を http://life7.2ch.net/test/read.cgi/seikei/1114833596/ リスク評価は、その評価が管理部門や現場の人間によって現実にどう利用、、じゃなかった、運用されるか、までを予測して計算しなかったら何の意味もない。食の危機を守ることに使えない、机上の空論の評価だったら、それは税金の無駄遣いどころか現状の対策を阻害する。食安委の先生よろしくお願いします。 さて日本の問題点のまとめをいくつか。。 米国牛輸入に関する調査会傍聴と歯科・内視鏡の感染対策 http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/c/a0209d89782edb34131184136abc37e0 国内ヤコブ病30〜40代の患者7人、病理解剖されずに診断 http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/bf58155f355fa3244ffea45ab06bb98d 検証:普通の生活で、vCJD=人型BSE狂牛病)が感染しないとは本当か?その1 歯科編 http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/57316d5ea76dd6092e7c843c2e7d6403 国内初vCJD患者、「国内感染の疑い排除できず」と厚労相&感染した場合の保障は? http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/faa330714087d7b08925e6dfa41f1332 日本初のvCJD患者さんの滞在履歴発表&英仏1日以上滞在者の献血禁止 http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/611bbff475ec712670b1018c2c2190ce 普通の生活で、vCJD=人型BSE狂牛病)が感染しないとは本当か? http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/214e5dafb4cbcfa79757a53197494199 ■他国では。。 オランダ、80年以後に輸血を受けた者の献血禁止へ、vCJD拡散予防措置 04.12.13 http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04121302.htm フランスで9例目のvCJD確認 最近2例の患者は繰り返し献血 04.11.25 http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04112501.htm Speak Easyさんの「痴呆症の中にヒト狂牛病が隠れている?」にも多数の情報が紹介されておりますのでご紹介。 http://blog.livedoor.jp/manasan/archives/cat_1011219.html 患者が出るたびに、過去に遡って調査しての対策が必要な病気です。実は他にもまだ、最近の続報があるのですが、順次追加して参りますので、時々覗いてみてください。 2005年7月21日追加 CJDの発生動向・掲示http://www.hyper-net.ne.jp/bbs/patio/patio.cgi?id=SANK&mode=view&no=10 (上記にUPしたものから抜粋) 米国でヤコブ病情報のウエブサイト開設 Man who lost wife to rare disease calls for more government action http://www.wrgb.com/news/regional/regional.asp?selection=article_31224 「CJD Voice」というサイトなんですが http://members.aol.com/larmstr853/cjdvoice/cjdvoice.htm ちょっと見たら、(このサイトによると)ヤコブ病発生の報告義務のない州、たくさんあるみたいですね? http://members.aol.com/larmstr853/cjdvoice/report_cjd.htm 笹山さんの掲示板(2005年7月20日)発言[2989] から http://www.sasayama.or.jp/saboard/b_board.cgi 英国の保健衛生当局者が、献血者に対して、更なるvCJD拡大の可能性を警告 このサイト「U.K. Officials Say Some Donors More at Risk to CJD」 http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=10000102&sid=aT7e_46LF_5k&refer=uk によると、1993年から1994年にかけて、その人が献血したヒトの三人がvCJDになってしまったケースとなってしまった100人の献血者に対して、手紙で、「あなたは、他の人に比較して、vCJDを感染拡散させる恐れがあるので、これ以上、献血や、組織提供を行わないように。」という警告書を送った。当局としては、この献血者からの献血によって、それらの人々がvCJDになったかどうかは、わからないという。ただ、できるだけ、公衆に対して、vCJDの感染リスクを減らすために必要な新しい情報をもって、適切なアクションをとる必要があるからであるとしている。 http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/4699349.stm 参照 http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=10000102&sid=aT7e_46LF_5k&refer=uk