米国食肉輸出連合向けに販促費供出を決定とか。&毎日新聞社説

■■米国の対策は「祈り」と消費者団体がUSDAを批判

米で2頭目BSE感染牛、出生証明の実施を要請=CSPI「USDAの対策は祈り」と批判
http://www.jc-press.com/kaigai/200506/062702.htm
CSPI Reaction to New Mad Cow Confirmation and Administration's "Faith-Based Mad Cow Policy"
http://cspinet.org/new/200506241.html
http://www.cspinet.org/
ちなみに、おまじないの形はこれだそうです。これって日本でいうエ○○チョに似ているような?(写真)
http://www.cmbdg.com/blog/content/wp-content/i/fingerscrossed.gif

■米国食肉輸出連合向けに販促費供出を決定

結構な金額の販促費ですね。
詳細邦訳は、まずはこちらをお読みください。↓
アメリカ農務省の狂牛病対策(未対策)最新事情(暗いニュースリンク
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2005/06/post_83dd.html
Such connections to industry impede the department's duty to police it, said Representative Rosa L. DeLauro, a Connecticut Democrat on the House Appropriations Committee. (On Tuesday, the department announced $140 million in grants to advertise American food overseas, including $12 million to the U.S. Meat Export Federation.)
http://www.nytimes.com/2005/06/26/national/26beef.html?pagewanted=2

さて、その費用はどこの広告業界、マスコミさんがgetされますでしょうかねぇ
報道の行方が興味津々です。

BSE(米国牛輸入問題と2頭目)に関する毎日新聞の社説

読売新聞の社説はもう論外(記者さんお気の毒)なのですが、
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/5a09792b2ed183075997f40b417a6658
毎日新聞には結構期待していたんですよ。正確な記事も最近多いし、でも、新聞の顔である社説ご担当者までには情報が行ってないみたいです。 思うんですが、社説って、一番詳しい、第一線の記者がその担当の分野を書くわけにはいかないのかしら?

まずは社説をご覧ください。
毎日新聞 社説:米国BSE リスク評価に日米協力を
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050628k0000m070150000c.html
もうちょっと危機管理感覚を持ってもらいたいですね。日本農業新聞を読みましょう、とお伝えしたいところ。

いくつか抜粋。。
>これで米国産牛肉の危険度が高まったわけではない。
EUのGBR評価や国際調査団の報告、USDA自体の高汚染の報告を読んだらこのような「表現」は言葉遊びというか、「ものはいいよう」。 ええ、確かに「危険度は高まらない」かも知れませんがね、「もともとの危険度がどれだけあるか」が不明なんですよ。

ご参考:
米国北部に高度のBSE暴露リスク、米国農務省報告
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/05050901.htm
その他まとめリンクをご参照
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/5a09792b2ed183075997f40b417a6658

>日本の消費者の安全は確保されている。
メキシコ、中国のリスク評価は?
ご参考:
EUによる評価(メキシコと米国のリスクは一緒)
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04082501.htm

>輸入されるはずのない高齢牛とされる。国内安全基準の見直し作業には影響がないと考えられる

いつ感染したかもわからないのに、月齢区切りの非科学、誤った考えに嵌りすぎですね。過去の報道マジックの罠でしょうか(笑。農業新聞の山内委員の談話と議事録を読んでいただきたいですね。

ご参考:
2005年1月21日 プリオン調査委員会傍聴記 その1 「20ヶ月齢記載は削除しろ」と委員
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/231654948ea4804c86cc0fd488153063
6/26日本農業新聞(虹屋さんWebご紹介)
山内一也さんの発言
「私も参加した昨年7月の日米専門部会の報告で、日本側は精度の高いウエスタンブロット法を使わない米国の検査体制への疑問を指摘した。検査体制の不備が裏付けられた以上、それを織り込んで米国の汚染状況を審議する必要がある。
 米国は、飼料を規制した1997年以前に生まれた牛と強調しているが、生後すぐに感染して8年も経てば、どの検査でも強い陽性反応を示すのが普通で、免疫組織化学法で陰性になるのは不自然。最近感染した可能性もある。汚染状況の評価は、科学的なデータが公表されなければ議論もできない。」

農業新聞に登場したサファー助教授の談話には以下のような話も。
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/05062701.htm
「若い牛は、脳以外のところで、病原体が増えることがわかっている。ただ、病源体がどこで、どれくらい増えるのかのデータがない。若い牛の各部位におけるデータが十分明らかになって、初めて科学的な判断が可能になる。今のところ、若い牛のデータは(十分調べられないままに)文字通り食べられてしまっている」

>検査方法を改善する柔軟さには敬意を表したい。
飼料管理を改善しない非柔軟さには?
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/f42e656eda417ecf8f5c40075665c76b
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/462f08e8cc6a6919618c3b8acbedde00
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/75a1947dbfa842f53eaa2d03873403c4
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/18d64aa98bf84460a8424a70764212fb

>米国の新しい検査方法を再評価しなければならない
生体牛検査と伊藤ハムの高感度安価検査も早急な評価の必要が。技術革新への対応は答申に入ってたんですから
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/e8e6ba03556f6bf1ad75cb8e6f408aeb
評価案より
BSE 及びプリオン病に関しては科学的に不明確な点が多く、利用できるデータも少ないため、リスク評価に有用な研究を一層推進する必要がある。また、リスク評価の基本となる科学的知見に関して、今後新しいデータ、技術革新等が得られた場合に評価の見直しを行う必要があると考える。」
http://www.fsc.go.jp/bse_hyouka_kekka_170609.pdf

>日本では当初、わずかなリスクの存在も認められなかった
・・・BSE対策のことをちゃんと勉強してない人が書いているわけですね。背割りの改善時期や、舌扁桃や背根神経節(脊髄と同リスク)がどうなってるか調査して報道してほしいものです。
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/c/c518ed690fc549eb31152db3ff1c91c6
http://www.jccu.coop/news/syoku/syo_050127_01.htm
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/3d3b6cf53841634add25ca31f08cfccd
というか、背根神経節がと畜場で除去できてないから流通の現場に頼っている、というニュースを配信されたのは毎日新聞さんなんですが。(背根神経節=脊髄と同程度のリスク)

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新聞の社説は問題をよくご存じでない方も書くのだ、ということが最近よくわかりました。報道の「プロフェッショナル」なのですから、もうちょっと頑張っていただきたいものです。でないとね、公衆衛生の重要な問題なのに、自己の選択だとかいう学者さんとかがまた出てきていい加減、いやんなっちゃう。それに表示義務のない食品とか加工品も沢山あるし、どうやって選択できるのですかい

最後に日本農業新聞の論説をご紹介。
BSE2例目/米国の動向 見極めを
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/column/0506/26.html

しかし、BSE対策の要は飼料管理といいたいところですが、発生頭数によっては、英国などは「膨大な数の牛の淘汰」を行って対策したわけで。鳥インフルエンザで処分される鶏のこともそうだけれど、祈りたい気持ちです。

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社説:
米国BSE リスク評価に日米協力を
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050628k0000m070150000c.html
 米国で2頭目牛海綿状脳症(BSE)感染牛が確認された。これで米国産牛肉の危険度が高まったわけではない。しかし、米国の検査方法に対する信頼は低下した。米国は日本と同様のウエスタンブロット法を導入するという。検査方法の改善は歓迎だが、新たな検査方法の追加で日本の食品安全委員会のリスク評価作業にも追加作業が必要になろう。米国には、日本の食品安全委員会への協力を重ねて要請したい。

 現在の米国の検査方法やBSE対策では、2頭目、3頭目の感染牛が発生することは十分に予想されていた。もっと早く、もっとたくさんの感染牛が確認されても不思議ではなかった。

 その意味では、2頭目の感染牛が確認されても、米国産牛肉は輸入再開できるほど安全が確認されていないという状況に変化はない。日本は、米国産牛肉は国内と同等の安全が確保されていないとして輸入を禁止している。日本の消費者の安全は確保されている。

 日本の食品安全委員会は5月に、20カ月以下の若い牛をBSEの検査対象から外すように答申し、厚生労働省農水省が国内安全基準の見直し作業中だ。

 これと並行して厚労省農水省食品安全委員会に、米国・カナダ産牛肉の輸入再開の条件を諮問した。諮問を受けた食品安全委員会がリスク評価作業中に、米国産と見られる2頭目のBSEが確認された。従来の米国の、感染牛はカナダ産で米国は清浄国という主張は崩れたが、2頭目の感染牛は見直し中の国内基準に照らしても輸入されるはずのない高齢牛とされる。国内安全基準の見直し作業には影響がないと考えられる。

 米国は、「免疫組織化学検査」一本という米国の検査方法で安全は確保できると主張してきた。日本はウエスタンブロット法も併用するよう求めてきた。2頭目の感染牛の確認で、米国はウエスタンブロット法の併用を発表した。

 米国の手法では国際的な水準での信頼を確保できないと認識した時に、検査方法を改善する柔軟さには敬意を表したい。

 しかし、いつから、どのように検査方法を改善するのかは、まだ明らかでない。リスク評価の対象となる検査方法そのものが改善されるのだから、日本の食品安全委員会も米国の新しい検査方法を再評価しなければならない。米国は食品安全委員会に十分な情報を提供してほしい。

 米国産牛肉の輸入再開問題を通じて、「科学的」という言葉の日米の違いが明らかになった。米国では一定のリスクを当然とし、統計的に十分な低さに管理されていれば科学的に安全とした。日本では当初、わずかなリスクの存在も認められなかった。

 日本の国内安全基準の見直しで日本はリスクの存在を認め、2頭目の感染牛の確認で米国は国際的な水準の信頼確保に理解を示した。米国産牛肉輸入再開の前提は日本の消費者の安全確保である。「科学的」なリスク評価に、日米はもっと協力してほしい。

毎日新聞 2005年6月28日 2時06分