プリオン専門調査会:米国牛輸入審議 傍聴報告

傍聴行ってきました。気が付いたことだけで、恐縮ですが。。いつもこのブログにまとめるより先に、笹山さんの掲示板に書き込んでいます。内容について、多数の、鋭く的確な情報をいただけるからです。最新の情報は掲示板をご参照ください。
http://www.sasayama.or.jp/saboard/b_board.cgi

↓配布資料は下記にUPされます。(2005年7月14日の覧ご参照)
http://www.fsc.go.jp/senmon/prion/index.html

■油脂の汚染問題について
今回の資料に「オランダ産動物油脂の輸入状況」が加わっていました。広島大の三谷先生方の「BSEと飼料問題」シンポジウム発表が意識されているのかと感じましたが、
http://home.hiroshima-u.ac.jp/yiwa/
重大な内容なのですから発表論文自体をしっかり調査会の議論の場にあげるべきなのに、しらっと無視されているのが、おかしく感じました。食安委には資料は提出されてると思いますし、厚労省農水省の担当者へも資料は(私も)お渡ししてます。

そして油脂について掲載されているのは、輸入していないという回答の「米国提出資料」+ オランダからの輸出先国一覧表(出典は?)だけです。問題にされているのが「オランダ産」だけというのが納得いきませんでした。第三国経由などの検証、それから、EUや英国など発生国からの油脂と血漿タンパクの輸入はどうなっているのか?その辺の資料はありません。それと油脂だけじゃなく、血漿タンパクも問題にすべきですよね。
米国が93年頃からBSEに汚染されているという国際調査団の報告を考えたら、
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/75a1947dbfa842f53eaa2d03873403c4国内で、法律上も許可して牛の油脂や血漿タンパクを牛の飼料として使い続けてるのですから
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/88ee603a342964cc6f5e0c29c9cc6b7f国内回転も問題にすべきだと思います。

油脂、血漿たん白については笹山さんのブログもご参照
「改めて、日本のBSEの原因を考える」
http://www.sasayama.or.jp/wordpress/index.php?p=161
>「オランダから輸入された動物性脂肪」「ドイツのNordmilch EGで製造されたSundkalvやRod KalvoやGron Kalvoという名の血漿蛋白・代用乳」、この二つの方面からの追求が必要

■山本茂貴委員の資料
資料に侵入リスクとして、「生体牛」「肉骨粉」「動物性油脂」があがってましたが、「血漿たん白」は入っていませんでした。

資料の最後に、チェック項目リスト一覧が作成されていたのですが「肉骨粉」だけで、「油脂」「血漿たん白」「チキンリッター(鶏糞とかごみ)」「レストラン残渣」などの「大穴」についてが記載されていなかったので気になりました。
http://cantwell.senate.gov/news/releases/2004_04_19_madcow.html
(まず、血漿タン白は汚染の問題なしに回収できるのかが消費者の疑問です。それと、血液からの、異常プリオン検出キット開発中ニュースがありましたが。。)

議論上では山内先生が再度チキンリッター問題を指摘されていました。

■ハーバードとEFSAのGBR報告書の比較について

資料は、ハーバードとEFSAのGBR評価内容の対比一覧表?が配布されました。(USDA自らが北部汚染を認めた最新資料などは今回配布されず、対象にはしないのでしょうか)
侵入リスクの頭数がハーバードとEFSAで、2桁、3桁違うのはなぜか、などの質問が出たりしてました。
※参考※
BSE最新と過去のニュース & アメリカ牛は本当に安全か?(EUによる米国評価)
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/18d64aa98bf84460a8424a70764212fb

厚労省からは道野さん、農水省からは釘田さんが説明をされてました。

■CWD(狂鹿病)とミンク脳症の検証は?
道野さんには、CWD(狂鹿病)とミンク脳症の資料も議論にあげてください、とメールでお願いしましたが、それについてはお返事はいただけず、資料も配布されてませんでした。
参考※ミンク脳症
http://blog.livedoor.jp/manasan/archives/17501557.html
http://blog.livedoor.jp/manasan/archives/17505307.html


CWDは確か意見交換会などの公開の場で米国牛の審議資料に使うといわれていたのに、今回も資料としては配布されませんでした。

<参考> OIEは信用できるか?&【蔓延】米国とカナダで狂鹿病発生 原因は?  
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/d2eaab2902ca588a9560a19a658b01a5

■2頭目12歳のBSE感染牛について

「実験では、1mgを与えて6年で発症、10mgでは5年で発症、2〜8年が潜伏期として、第一例目はウエスタンブロットで判明、今回の2例目は20分の1の量のプリオン、IHCでひっかからない、最近感染したのかも知れない、非定型とかUSDAは根拠もない、証拠もないことばかり言っている。今までのデータを出してもらうしかない。判断しようが無い。」
という発言もありました。

資料を見る限り、「こんな、いい加減な対策のものを輸入対象検討しなくちゃいけないの?」といった戸惑いを感じましたが、それを感じたのは、もちろん傍聴者だけではなかったように思います(^^;

■事務局が委員に求めたコメントが配布されなかった件

それから、厚労省が作成する「諮問に至った経緯、目的、背景の説明」について、山内先生から「事務局からコメントを求められて提出したのに、それが資料に載ってない」、とクレームがありました。それに対する事務局の梅田さんの回答は「無視したわけではなく」「座長に伝えた」 それを受けての吉川座長の回答は「大幅な変更ではないので後で付け加えればいいと判断しました」とのこと。結局、「参考資料として全委員に配るべき」ということになりましたが、なんか、いまだに食品安全委員会は、透明感がなく、すっきりしませんね。

その他、
「EUでの問題を考えると豚鳥飼料の「流用」を考えるべき」
(SRM入り肉骨粉が米国では豚鳥はOK)
「大きい農場では流用されず遵守されているが小さい農場ではそうではないという報告がある」
「米国のIHC検査はたよりにならない」
「データを全部もらわないと、こうして審議会で議論が空転してしまう」
「日本がHPで公開しているくらいの情報は提供されるべき」
「我々は新聞で情報を入手しているんです」

などの意見がありました。北本委員の宿題については、資料はあったものの明確な回答ができてなかったので次回に持ち越し、
「日本の国民の疑問は、米国がちゃんとしたサーベイランスをしてるの?ということではないか。日本のテクニックに当てはめて考えると、米国の汚染率、サーベイランスの有効性がどうなのかがわかるのではないか」との質問がありました。

あと、専門用語だったので?ですが「米国のエライザのエライザの吸光度、スレッシュホールド(閾値)が知りたい」、なんて意見もありました。
※吸光度はUV分光分析と同じで濃さに換算され、スレッシュホールド(閾値)はその検出限界
吸光度詳細は発言[2898]のご解説を参照
http://www.sasayama.or.jp/saboard/b_board.cgi

あと話題になっていたのは、日本では死亡牛が(農場死亡牛+廃用牛処分も含め)5%あるが、米国では農場死亡牛はどのくらいあるのか?ということだったかな。他にもありますが、トピックとしてはこの辺で。。。

■スタニングの安全性は?
ピッシングばかりが問題になってますが、現状どこでも行っている「スタニング」だって枝肉を汚染するという論文が出てましたよね。感染牛が多くいる可能性があるのであれば、スタニングだって評価にかかわる問題だと思いますが。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi
論文はstunning prionなどの用語で検索するとヒットしたと思います。

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■審議会の報道

虹屋さんのまとめ 発言[2870]ご参照
http://www.sasayama.or.jp/saboard/b_board.cgi

日本農業新聞 汚染度を評価 データ提出を求める
日本食糧新聞 米国のサーベイランス体制わからない リスク評価を開始
http://www.nissyoku.co.jp/
毎日新聞  <BSE牛>日本で発見の20頭中の9頭、米なら検査対象外
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050715-00000002-mai-soci
共同通信  BSE汚染状況評価に着手 プリオン専門調査会
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050714-00000205-kyodo-soci
日本経済新聞 米産牛輸入再開、秋以降にずれ込みか・安全委の審議長期化
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20050714AT1F1401L14072005.html
新聞赤旗 米国式BSE検査に疑問 データ不足浮き彫り 専門調査会
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-07-15/2005071504_03_2.html

輸入再開の結論早くと農相 米国産牛肉で食安委に
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=econ&NWID=2005071501001314
農水省の記者会見議事録
http://www.kanbou.maff.go.jp/kouhou/index.html