OIEコード改正会議に日本が意見を提出したものの。なんかおかしい

4月8日:OIEのコード改正に関する会議・委員の意見をPick UP
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/908c7deb10e4ca1f6f086f7208273d2f
その後、消費者や業界との意見交換会を経て、
http://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050330press_11.htm
農水省がOIEに意見を提出しました。

OIE/BSEコード改正案に対するコメントについてhttp://www.maff.go.jp/www/press/cont2/20050511press_1.html
しかし、なんかおかしい。。
4月8日、専門家から指摘された「科学」が反映されていない部分があります。

ちなみに行政からは確か「中川さん」「釣田さん」がご出席されてましたが。。
(上記仮訳から抜粋)
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特に、(日本は)
① S R Mとして腸全体ではなく回腸遠位部のみを指定する提案を支持する。
( 理由)
提案は、感染性が回腸遠位部のみで確認されており、それ以外の腸では確認されていないという科学的根拠を踏まえたものである
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あれーーーーーーーー????、OIEの専門家会議ではこんな意見↓を聞いたはずなんだけどなぁ。。。???どういうことだろう?

★「腸のSRM指定については、”科学的にはリンパ組織があり全腸が危ない”、ということなのにSRM除去の方法の違いやら、EUが食べない云々などの問題によりコードが改定されることが、大きな問題だ。」
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/e/908c7deb10e4ca1f6f086f7208273d2f
2005年6月21日追記訂正:この指摘はどうも意味が違うようでした。詳しくは↑に議事録URLをリンクしましたのでご参照。

ご参考までに。農業情報研究所のサイトから腸の安全性についての情報を。
ぜひ、URL全文をどうぞ。
■OIE、腸全体をBSE特定危険部位に 問われるわが国の対応
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/news/04062101.htm
(抜粋)
>これまでにも何回か述べてきたが、ここでもう一度繰り返しておけば、フランス、続いてEUは、回腸遠位部以外の腸にも一定のリスクを認め、腸全体を特定危険部位に指定してきた。EUでも、従来はBSE高リスク国の英国、ポルトガルにのみ腸全体の排除を義務づけてきた。感染性は回腸遠位部にしか確認されていないとしながらも、屠畜の現場でそれだけを的確に摘出できないことを恐れたからである。

 ところが、フランス食品衛生安全庁(AFSSA)が2000年、回腸遠位部以外の感染性も否定はできないとする意見書を出した。①子牛の回腸の感染性は証明されている、②回腸遠位部以外の腸の諸部位も、程度はより低いが、プリオンの増殖が可能なリンパ組織、神経組織を含む。腸のクリーニングも、すべてのこれら組織を除去するには十分でないことが、顕微鏡分析で確認された。③これらの部位がマウスに病気を引き起こさなかったという若干の実験的証拠はあるが、マウスでの実験は牛から牛への実験よりも敏感ではない、というのがその根拠であった。

 EUの科学運営委員会(SSC)は2000年11月、このAFSSAの意見を認める意見書を出した。それは、「腸から作られたケーシング(ソーセージ等の皮)の組織学的分析が回腸以外の部位に神経・リンパ細胞を発見した(しかもケーシングの調整後にも)というAFSSAの新たな情報に鑑み、SSCは腸全体(及びそれから作られるケーシング)が、屠殺される動物が感染していることは高度にありそうもない場合でも、特定危険部位と見なされるべきである」と結論した。こうして、フランスに端を発したBSE危機が深まるなか、EU全体で腸全体が特定危険部位とされることになった。

 食品安全委員会は、少なくともこのような意見の正否だけは、しっかりと検討しなければならないはずだ。腸の感染性に関するわが国独自の研究があるとは聞いていない。

 ついでながら、特定危険部位を腸全体に拡大することは、ヨーロッパに大きな負担を課したことも指摘しておきたい。「腸を食する習慣」がないというのは、少なくともヨーロッパについては言いがかりだ。そういう習慣があるからこそ、特定危険部位に指定する必要があった。(略)
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なんだかなぁ。。みなさん、どうお感じになります?

5月13日追伸:
昨年4月のOIEコード改正専門家会議での、山内一也委員のご発言です。
「そして消化器系で回腸遠位部のところでプラスでこれは見つかったということです。ただこれで見ていただければおわかりになるとおり十二指腸では調べていますが、回腸近位部は調べていない。」
http://www.maff.go.jp/soshiki/seisan/eisei/bse/gijiroku.htm
調べていない部位が結構あるみたいですね。調べていないor(昔の)感度の低いテストで陰性=安全とされるのは困りますね。日本の研究者のテスト方法は世界でも進んでいるようですから、ぜひ最新の感度のよいテスト方法で再検査いただき、それら結果を公表いただきたいものです。なお、「パイエル板」についても討論されておりますので、ぜひ全文をお読みください。

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余談。これらに関係した、海外報道と日本の報道を比較してみますね。
日本は報道する気あるのかな〜と思う今日この頃です。

翻訳ソフトはこちらをどうぞ。
http://www.infoseek.co.jp/Honyaku?pg=honyaku_top.html&svx=100302&svp=SEEK

4月18日の意見交換会のニュース(両方とも共同)
Consumers oppose proposed int'l standard on beef safety
http://asia.news.yahoo.com/050418/kyodo/d89hru9g0.html
BSE対策緩和に批判続出 消費者らが意見交換会
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050418-00000159-kyodo-bus_all

「Consumer group representatives point out that a causative agent of the disease, formally known as bovine spongiform encephalopathy, was detected even in peripheral nerves and that it is impossible to remove specified risk materials completely. 」
適当訳すると、「消費者団体の担当は、”BSEの原因物質が末梢神経にさえ検出された上に、しかも危険部位を”完全に”取り除くことなんてことは不可能だ」と指摘した。、ということなのですが、この、大事な意見は日本の共同通信の記事では報道されませんでしたね。

さらに頑張れる方はこちらの翻訳もどうぞ。。海外版のほうが詳しいです。
4月8日の専門家会合のニュース
Japan experts concerned about mad cow rule change
http://www.krvn.com/news/agricultural/index.cfm?ID=9187
BSE国際基準で専門会合 OIE総会へ日本案検討(共同)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050408-00000099-kyodo-bus_all

消費者としての感想を述べれば、どっちにしろ、飼料があやしくて感染の可能性がある牛など、どこの国の牛でも食べたくはありませんね。